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映画 アーネスト式プロボーズ(オスカー・ワイルド)

映画「アーネスト式プロポーズ」 2002年 ミラマックス,日本未公開だが,DVDは販売された。リース・ウィザースプーン、コリン・ファース主演によるラブコメディ。

 


FoxBSで「アーネスト式プロポーズ」をふたたび観た。前にレンタルビデオで観たが,ワイルド作品の中でいちばん好きな作品だから。原作 the impportance of being earnest(私が一番最初に読んだ翻訳の題は「嘘から出た誠」)の意味は,結末を見れば,なるほどと分かるだろう。原作よりもスラップスティックなものになっているが,映画化としては,そんなに悪くないと思う。

イギリスの作家,オスカー・ワイルドのイメージはどうだろうか。読んだ本によってまったくイメージが異なる作家ではないだろうか。

童話作家と思っていた人もいた。彼の作品の中で一番ポピュラーなのは「幸福な王子」かもしれないし,間違いではないが。

小説では「ドリアン・グレイの肖像」,映画にもなったから,いちばん有名だろう。


詩も,日夏 耿之介の訳詩(絶版)があるが,もっとも彼の才能が輝いているのは 戯曲かもしれない。確かに深みもないし,人生の教訓とか社会問題の告発などはないが,ひたすら,機知あふれる会話,警句や毒舌にあふれたセリフが楽しめる。大分違うけれども,「思議の国アリス」が思い浮かぶ。どらもナンセンスの世界に遊ぶ点では同じだ。

劇作では,日本では「サロメ」が有名だが,彼の本領は風俗喜劇の4作だろう。ウィンダミア卿夫人の扇(映画では「理想の女」スカーレット・ヨハンソン主演),理想の夫(映画では「理想の結婚」ケイト・ブランシェット主演),まじめが肝心(映画では「アーネスト式プロボーズ」リース・ウィザースプーン、コリン・ファース主演),つまらぬ女(現在映画化中との情報。1921制作イギリス映画あり)と4作とも映画化されていることからも人気の程が分かるだろう。

「O.ワイルド全集2」(西村孝次郎訳 青土社)はサロメ以外の劇を収録していて,悲劇も5作入っている。久しぶりに原作を読んでみた。登場するアルジャノン,ジャックは上流階級なのに,「まったくひでえもんさ!...ありがてえや。こちとら目下ひでえ金詰まりでな」というセリフは,いくら親しい間柄でもどうなだろう。原文を見たが,普通の文章でくだけた風には見えない。その他の人物のセリフも下町っ子のようであり,違和感がある。風俗喜劇というのは,階級による言葉づかいや作法の違いを描くものだと思うが。

また,ジャックがタバコを吸うと答え,ブラックネル卿夫人が(p475 )「いつも何か仕事がなければいけませんもの。今のロンドンには怠け者が多すぎます」の訳は変だ。原文を見ると,A man should always have an occupation of some kind.  There are far too many idle men in Londonas it is. ここは occupation 暇つぶし, idle 「何もせずにいる状態」の訳語の方がふさわしいだろう。手持ち無沙汰ならタバコでも吸ってごまかせというニュアンスが伝わらない。

また,セシリー「それはあたしの後見人のアーネスト・ワージングじゃなくてよ」(p503)は重要なセリフなのに,意味が逆になっている。「後見人」≠アーネスト・ワージングなのだから。原文をみると,it is not Mr Earnest Worthing who is my guardian. 「私の後見人はアーネスト ワージングさんではない」だろう。「後見人の」は「後見人は」のミスプリか?

何といっても,オスカーワイルドは私の好きな作家なので,気になってしまった。

by show_isa | 2012-07-02 17:26 | culture | Trackback | Comments(0)
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