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二流小説家, アソシエイト (ミステリ書評)

「二流小説家」早川ポケットミステリ ディヴィット・ゴードン作 
原題はThe Serialist(連載作家)。久しぶりに斬新なアイディアのミステリで著者としても渾身のりきさくであろう。ミステリは始めてとのことだが,ストーリーの展開もうまく,新人とは思えない。素材を未消化のまま,てんこ盛りしたがる作者が多いのだが,この著者は多くの素材を上手に料理して展開している。
 ミステリはマジックショーのようなものだ。鮮やかなショーに目を奪われ,ネタを見落としてしまう。思いがけない展開でつじつまが合わない部分に気づかない。ミステリでの目くらましは,衒学的な話題,うんちくだったりする。うんちくに気を取られているうちにマジックのネタを見逃してしまうのだ。この作品では文学談義や恋愛,小説に挿入されたSF小説が,この陰惨な事件の雰囲気を和ませてもいる。
 主人公のさえない中年作家ハリー・ブロックはSF,ポルノ,バンパイアなどをペンネームを変えて書き,家庭教師もして何とか生活している。それが,若い女性の猟奇連続犯で,もうすぐ死刑になる囚人(ダリアン・グレイ)から伝記を書かないかと手紙がきた。世間で注目を浴びた事件なので,出版すれば儲けは確実だ。だが,条件がついていた。死刑囚に手紙を送ってくる若い女性ファンに会って,彼女達をモデルにしたポルノを書くこと,またインタビューの内容は生前に公表を禁じるというものだ。間もなく死刑になるだからと,死後に公表との条件を受け入れたのだが,そこには死刑囚の企みがあったのだ。おもしろいことは請け合いである。

「アソシエイト」上・下 ジョン・グリシャム著 新潮文庫
お馴染みの著者のリーガル・ミステリー。過去の作品同様,プロットが違っても巨大法律事務所の内幕話ということは同じ。イェールのロースクール卒業の優秀な学生が,正体不明のエージェントに,巨大法律事務所に就職し裁判の機密情報を持ち出すように脅迫される。学生時代に彼の部屋で女子学生を強姦したというビデオがあるというものだ。もっとも彼自身ではなく,自室で行われたバーティで彼の友人が酔いつぶれた女子学生を強姦したというものだ。彼自身は直接しなかったとは言え,ビデオが明るみにでれば彼の名誉もなくなってしまう。当時,女子学生の訴えで警察が調べたが,その女子学生は前の日に問題の男子学生と寝ていたし,他の多くの男子学生とも関係を持っていたので強姦とは判断されなかったのだ。
巨大法律事務所の激務の中で,事務所にばれずに正体不明のエージェントの裏をかくかというストーリー。正直な感想は,相変わらず芸達者だが,ちょっとマンネリ。ビデオをどうやって入手したのか最後まで明かされなかったのも不満だ。
さてタイトルのアソシエイトだが,法律事務所は株式会社ではなくパートナーシップで,共同経営者であるパートナー(巨大法律事務所は,その中で更にランクがあるが)と,雇われているだけのアソシエイト(若手弁護士)に分かれる。主人公はもちろんアソシエイトで,我慢していればいつかパートナーになれるかもというところだ。
by show_isa | 2012-10-11 22:06 | culture | Trackback | Comments(0)
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