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書評 リチャード・クー著「日本経済を襲う二つの波」



「日本経済を襲う二つの波」 リチャード・クー著 徳間書店 2008年
サブプライム危機の時に書かれたものだが,今でももっともだと思う。特筆する点は<バランスシート不況>と<日銀は間違っていない>である。


<バランスシート不況(企業の過大債務)>
金融政策ではバランスシート不況は解決できない。金融政策が効くには金を借りたい人がたくさんいるのが前提だが、そのような人たちがいなくなった時点からまったく効かなくなってしまう。貯蓄や借金返済をする人は大勢なのに借りる人がいなくなれば、その分総需要が減少し景気が雪だるま式に悪化する。「企業や家計が借金返済に回る」という視点がないと、不況の本質を見誤ってしまう。
銀行の多くの借り手が倒産して、銀行が債務超過に陥った場合、いくら中央銀行が資金供給しても倒産状態から抜け出すことはできない。資金供給ではなく、資金投入が必要である。民間の資金の借り手は常に大勢いるという前提で経済理論を展開しているが、実際にはそのような借り手はいなかった。銀行の多くの借り手が倒産して、銀行が債務超過に陥った場合、いくら中央銀行が資金供給しても倒産状態から抜け出すことはできない。資金供給ではなく、資金投入が必要である。民間の資金の借り手は常に大勢いるという前提で経済理論を展開しているが、実際にはそのような借り手はいなかった。新銀行東京が倒産したのは、(借り手がいるとの)考えが間違っていたことの証明である。
そしてバランスシートは修復しても,企業家は資金を借りたがらなくなった。企業は借金返済に回していたキャッシュフローを設備投資に使えるようになり民間の資金需要(借入れ)がなくなった。したがって景気が上向いても借り手がいない。


<日銀は間違っていない>
一斉に財務健全性に走ると通常の金融政策中心の景気対策は効力がない。必要なのは財政政策である。かなり長期間にわたって政府が景気の下ささえをする必要がある。減税しても借金返済に回れば需要拡大に回らない。残るは政府自らが金を使う公共事業である。日本の財政政策は人類市場もっとも成功した経済政策の一つである。バブル崩壊で1500兆円も失われたのにGDPは名目でも実質でもバブルのピークを上回った。大きな落ち度はいつも後手後手に回ったことである。
世代間格差は本当か。孫のクレジットカードまで使ったという考え方は正しいのか。償還した資金を引退世代が使えば、現役世代の所得になる。貯蓄すれば現役世代に相続される。日本は一国財政再建主義で世界での役割を何もやろうとしていない。どうせ最後はバブルの尻拭いを財政でやるのなら,最初から民間過剰投資資金を吸収してバブルを未然に防ぐ方がはるかに良い。


<感想>
未だに、金融緩和で日銀がジャブジャブと金をばらまいてインフレにすれば、景気が良くなるという頑迷固陋な人がいるのは困ったものだ。経済学は金利が下がれば借り手が増えるとしているが,これは正しいか、現実を見れば分かるのにね。
政治家や経済学者の日銀批判は自分たちの無能を隠すためではないかと思ってしまう。それに、グローバルな視点がなく、日本一国主義の言説(日本さえ良ければ)という人が多い。今,世界で日本は経済的にましな国であるのに、円安にしてどんど輸出しようという近隣窮乏化策しか考えないのは困ったものだ。


by show_isa | 2012-11-02 00:43 | market | Trackback | Comments(0)
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