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「金融危機後の世界」ジャック・アタリ

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「金融危機後の世界」ジャック・アタリ著 作品社
 原著第3版は2009年6月出版とのこと。現時点では、著者が懸念するような最悪コースに世界経済は陥っていないが、この先どうなるかは未だ不明だ。金融危機の原因については既に様々言われている。著者が主張する解決策について触れる。インフレという解決策について、「インフレを起こす政治的決断が必要、...5%を越えた段階で、迅速に思い切った物価安定化政策に取り組む」と述べている。が、著者自身が「危険な賭け」と言っているとおり、私には疑問だ。素の場合、日本は「金利の予期せぬ上昇によって窒息する」だろう。保護貿易(自国内に閉じこもる)か地球規模での解決策ということになる。地球規模の解決策とは、できる限りの民主的統治制度を構築すること。対策の一つとして、最低賃金の引き上げなど民間需要を持続的に支援する、銀行を慎ましやかで退屈な職種格下げする、IMFを強化して超国家的な金融規制を行う。国連安全保障理事会を改組して世界ガバナンス理事会としIMFその他の国際金融機関をその権限のもとに置くなどの提案をしている。金融取引はグローバルなのに規制が国家単位では、国際金融危機は防げないのは自明なことだ。資本主義に「道徳観」を植えつけるとの夢物語ではなく、著者が言うとおり「資本主義を法制度の枠組みに囲い込む」ことが現実にあり得る解決策である。
アメリカの中産階級に不十分な給与しか払わず借金を煽りたて、その借金を不良資産として世界中に振りまいたのが今回の金融危機の原因というのも、その通りだ。
ところで、本書では資本主義の歴史ということで、世界の中心都市がジェノバ、アムステルダム、ロンドン、アメリカと移転したとか中心と周辺とかあるが、これはジャック・アタリの創見ではなく、フェルナンド・ブローデル、イマニュエル・ウォーラースタインあたりが元であろう。


本書では記載がないが、別な著作(21世紀の歴史)でノマドについて触れているそうだ。最近、ノマドと言う言葉を見かけるが、フランスの哲学者やジャック・アタリなどが言い出しのが広がったのか。ちなみにウィキペディア英語版に独立項目はなく、Telecommutingの項に remote work,or telework is a work arrangement in which employees do not commute to a central place of work. A person who telecommutes is known as a "telecommuter", "teleworker", and sometimes as a "home-sourced" employee. とある。つまり会社員で自宅やサテライトオフィスで仕事すればノマドだ。もともとは世界中を駆け回っている旅行家のような存在だと思うが。ノマド(原義は遊牧民)が別な意味合いというか矮小化されてカフェでパソコンしていればノマドとなってしまったのだろうか。ジャック・アタリの言うノマドでは外国への出稼ぎ民、地元では食えなくて外国に出稼ぎに出るような下層ノマドがノマドの大半を占めるわけだが。かってフリーター(フリーアルバイター)が持てはやされた時期があったように、ノマドは企業にとってはおいしいだろう。雇用ではなく請負契約で安く使い、いつでも契約を切れるし、机も社会保険も退職金もいらない。アメリカではコンサルタントの職業が多いが、社員として雇用するより安上がりだからというのもあるらしい。トップクラスの人を除けばね。世の中、踊らされて扇動に乗っかる人々がいるものだ。日本でも、貯蓄から投資へ、自己責任と言う言葉でリスクを個人に追わせようという動きがあった。しかし、銀行は救済されても個人は救済されないのにね。


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by show_isa | 2013-01-03 15:00 | culture | Trackback | Comments(0)
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