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TPPの投資家保護条項は、現代版不平等条約か

新規上場株式の申し込みをしましたが、ALBERTとファーストロジックの2社とも抽選が外れました。SBI証券は大口顧客優先との話もあるので、私の様なドブ板投資家には縁がないのでしょう。

さて、EUとアメリカの間でもTTIP(環大西洋貿易投資連携協定)が交渉中です。その中で、「投資家と国家の間の紛争解決(ISDS)」という条項が英国やドイツのメディアで問題視されています。TTIPはTPP(Trans-Pacific Partnership 環太平洋地域による経済連携協定)の大西洋版のようなもので、TPPにもISDS条項があります。
英国のファイナンシャルタイムズの社説では、
「懸念のうち大事な部分は「投資家と国家の間の紛争解決(ISDS)」という条項が盛り込まれる可能性だ。...ある国の投資家が通商協定を締結した相手国によって資産を不当に没収されたと主張する場合、その紛争の裁きを国際的な法廷に委ねなければならないことを定めている。低所得国はしばしば独立した司法システムが欠ける...国際的な仲裁に判断を任せることが、その場しのぎの政策や腐敗した政府から自国民や外資を守る一つの手段だった。その後、米国企業を中心とする大企業はISDS条項をたてに、自社の権利を声高に主張してきた。...2008年にカナダ政府は公的医療に関する訴訟の対象になった。訴えられるかもしれないという脅しには政策の抑止効果になり得る。...」と述べている。
シュピーゲルも、「主な問題点は、投資家に与えられる特別な権利について、遺伝子工学、環境保護、食品品質のEU法をアメリカ企業が覆そうとするものだと懸念されている」等述べている。

さて、日本政府はISDS条項を途上国から日本企業を守るためにあると、ファイナンシャルタイムズと同様に説明しているが、それなら日本と米国との間に必要なのか。また、政府の説明も見方を変えれば、途上国に物を買ってやる代わりにと不平等条約を押しつけるようなものです。先進国の大企業が後進国を訴えることはあっても、後進国の企業が先進国を訴えることは考えにくいですね。
ISDSでは国際仲裁裁判所の判決に従う義務があり、不服でも上訴はできません。なお、この裁判所はハーグにある国際司法裁判所とは無関係です。いくつか仲裁裁判所があり、世界銀行の下にある投資紛争解決国際センター(ICSID)、国際商業会議所(ICC)などがそうです。裁判官にあたる法律家は職業裁判官ではなく大企業の法務弁護士だったりするようです。建前では中立でも、欧米大企業の顧問弁護士が大企業の利益に反する判決を出すと考えるのは、よほど無邪気な学者でしょう。しかも、透明性が高くないと言われます。(週刊誌シュピーゲルによれば there is a tendency on the part of judges to give a high priority to companies' rights. ... "The countries practically kneel down before us," one attorney at a law firm specializing in arbitration once said...In most cases, arbitration courts meet in secret and their rulings often aren't even published. )
これは企業団体である商業会議所が国家より上位にあるということで、企業同士の紛争であればこの様なシステムでも良いのかもしれませんが。また、自治体も訴訟の対象になります。訴えられると高額報酬の外国の弁護士を雇い、巨額の訴訟費用がかかります。訴訟は海外で、提出文書は全て英語にしないといけません。そのため、訴訟リスクを恐れて萎縮させる効果があり、環境保護の条例制定などを避けるようになるかもしれません。
民間法廷が国家より上位にくること自体が問題であり、EUでは公的な裁判所を設けることが何年間も検討され、これが新たなグローバルスタンダードになるべきとの考えがあります。残念ながら、日本政府は米国のいいなりで、このような代替案を考えるつもりは全然ないのでしょう。

※ガーディアン(オブザーバー) Britain isn’t buying everything in TTIP
ドイツの週刊誌シュピーゲル  Free Trade Faults: Europeans Fear Wave of Litigation from US Firms
ファイナンシャルタイムズ 自由貿易で民主主義を損なうな



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by show_isa | 2015-02-10 21:44 | news | Comments(0)
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